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物を観察することから得る表現は絵画の基本と考えています。

絵画の造形的な発展は、いつもそこから行われてきました。近代的なアプローチとしてはセザンヌから始まり様々な展開を迎えています。アメリカでは、Mark Rothkoを代表とするアメリカ抽象表現主義は偉大なものを残してくれました。イタリアでは、3Cと呼ばれる新表現主義での造形的な解釈は不可思議な人物像を呈し現代的な発展を遂げたと言えます。その中でイギリスでは、比較的純粋に近い形でimpressionismから脈々と引き継がれてきたものがある様に思えます。William Nicholson、Lucian Freud、Euan Uglow等に強く感じます。非常にシンプルに、美しい形で発展しています。ものを見つめることを基本とし、そこに画家の心や、記憶、境遇など、様々なアイデンティティが反映されています。具体的なものを描くことによって狭められてしまうことはなく、そこには無限の可能性をもって広がるイメージが在ります。私にはimpressionismとExpressionismのいい所がうまく融合している様に見えます。

私は、この永遠に続く普遍的なイメージを表現することを目的としています。私というアイデンティティが、この純粋な絵画史の中で何を残せるかを自分自身問答し、且つ期待しながら、真摯に絵画を制作しています。

私は日本の中でも北海道と言う島で生まれ育ちました。アジアと言う中の東端の島国、またその中の北端にある島。私の祖先は大陸からきて転々とこの島にたどり着いた様です。現代においては、私もまたどこかに旅立つのかもしれません。

そんな様々な場面に置いてきただろう全てが重要であり、現在の私を形成しているのだと感じいます。現在は点々とした記憶や歴史を表現することに至っており、具体的なモデルを使用する静物画でその表現をしています。描かれるモデルは、私たちの身の回りにある素朴なものたちです。今その一瞬を捉えるのではなく、普遍的な事象がそれぞれのモデルに託されています。

2012年11月

山田啓貴